寝具は高ければいいというわけではない

~自分の暮らしに合った“道具”としての寝具選び~

 

 

寝具は高ければいい、というわけではありません。

高級・高機能・プレミアム。寝具には、こうした魅力的な言葉がよく使われます。
もちろん良い寝具には理由があります。ただ、本当に大切なのは、「自分の暮らしに合っているか」という視点だと思います。

寝具業界って不思議なところがあると思っています。

【商品のネーミングに自画自賛系の枕言葉をつける場合が多い】

ということです。

たとえば、

  • 【高級】羽毛ふとん
  • 【高機能】マクラ
  • 【プレミアム】マットレス

等々です。

もちろん、このような言葉は他の業界でも使われていますが、寝具は特に「違いが見えにくい」商品だからだと考えています。

日々寝具に接しているプロからみると、寝具は確かに進化しています。しかし、それが見えにくいのも事実・・・。

文章や映像で見せられても、実際に体験してみないと実感がわかない商品だと思っています。

なので、このように少しエモーショナルな言葉が使われるんだと思います。

もちろんこのような高い寝具には高いなりの理由があると思っています。

素材がよかったり、縫製が丁寧だったり、耐久性が高かったり、寝心地に工夫がされていたり。

ただし、寝具のプロとして、ひとつだけはっきり言えることがあります。

寝具は、高ければいいというわけではありません。

これは本当にそう思います。

寝具は快眠を目指すための「道具」である

高級だから快眠できるわけではありません。

高機能だから腰痛が治るわけではありません。

プレミアムだから朝すっきり起きれるわけではありません。

言い方を変えれば、寝具は「作品」ではなく「道具」だと思います。

包丁と同じです。

料理人が使うような高級包丁を買えば、誰でも料理が上手になるかというと、そうではありません。

  • 切れ味がよすぎて怖い。
  • 重くて扱いにくい。
  • 手入れが大変。
  • そもそも冷凍うどんしか切らない。

こうなると、せっかくの高級包丁も、その人の暮らしには合っていないかもしれません。

寝具も同じです。

どれだけ高価でも、どれだけ性能がよくても、その人の体や暮らし方に合っていなければ、よい寝具とは言えないと思います。

暮らし方によって、合う寝具は変わる

たとえば、同じ羽毛ふとんでも、合う人と合わない人がいます。

寒がりの方には、しっかり暖かい羽毛ふとんが合うかもしれません。

一方で、暑がりの方には、軽くて保温力の高いふとんが暑すぎることもあります。

  • 寝室が寒い家。
  • マンションで冬でも暖かい家。
  • エアコンをつけて寝る人。
  • エアコンが苦手な人。
  • パジャマを厚着する人。
  • 半袖で寝たい人。

これだけでも、選ぶ寝具は変わってきます。

「このふとんはいいですよ」と言われても、その“いい”が、自分の生活に合っているかどうかは別問題です。

まくらも同じです。

  • 横向きで寝る人。
  • 仰向けで寝る人。
  • 寝返りが多い人。
  • 首が細い人。
  • 肩幅がある人。
  • 柔らかい感触が好きな人。
  • しっかり支えられる感触が好きな人。

これらによって、合うまくらは変わります。

「高級まくらを買ったのに合わなかった」

ということは、決して珍しいことではありません。

高級まくらが悪いのではありません。

その人に合っていなかっただけです。

ここを間違えると、寝具選びは迷宮入りします。

ドラクエでいえば、たいまつなしで洞窟に入るようなものです。

しかも、なぜか敵が強い。

高い寝具が悪いわけではない

ここで誤解していただきたくないのは、

「高い寝具は不要です」と言いたいわけではないということです。

むしろ、よい素材を使い、丁寧につくられた寝具には、やはり価値があります。

  • 暖かさ。
  • 軽さ。
  • 肌ざわり。
  • 耐久性。
  • 湿気の逃がしやすさ。
  • 寝返りのしやすさ。

こうした部分に、価格の違いが出ることはあります。

ただし、それはあくまで「その人に合っている場合」です。

高級な登山靴でも、近所のコンビニに行くだけなら少し大げさです。

逆に、山に登るのにサンダルでは困ります。

つまり大事なのは、価格ではなく目的です。

寝具選びで考えたいこと

何のために使うのか。

どんな環境で使うのか。

誰が使うのか。

どんな寝心地を求めているのか。

ここを考えずに、価格だけで選んでしまうと、寝具選びはうまくいきません。

「自分にとっての快適さ」を考える

寝具選びで大切なのは、

「一般的によい寝具」ではなく、

「自分にとって快適な寝具」を考えることです。

たとえば、こんなことです。

  • 寒くて夜中に目が覚めるのか。
  • 暑くてふとんを蹴ってしまうのか。
  • 朝起きると肩や首が重いのか。
  • 寝返りがしにくいのか。
  • 汗をかきやすいのか。
  • ふとんの重さが安心感になるのか。
  • 軽い方が楽なのか。

こうした感覚は、人によって違います。

家族でも違います。

夫婦で同じふとんを使っているけれど、

ご主人は暑い。

奥様は寒い。

これは、寝具店ではよく聞く話です。

同じ寝室で、同じ季節で、同じふとんを使っていても、感じ方は違います。

そう考えると、寝具選びは「これが正解です」と一言で決められるものではありません。

むしろ、生活に合わせて調整していくものですし、そのために私たち寝具のプロがいると思っています。

寝具は生活を助ける道具

寝具は、人生を劇的に変える魔法の道具ではないかもしれません。

しかし、毎日の眠りを少し楽にしてくれる道具ではあります。

毎日の眠りを少し楽にする

朝、少し起きやすくなる。

夜、ふとんに入るのが少し楽しみになる。

寒さや暑さで目が覚めにくくなる。

首や肩の違和感が少し減る。

寝る時間が少し好きになる。

この「少し」が大事だと思います。

毎日使うものだからこそ、少しの違いが積み重なります。

高価な寝具を買うことが目的ではありません。

気持ちよく眠れる環境をつくることが目的です。

寝具は、暮らしを支える道具です。

だからこそ、見栄や価格だけで選ぶのではなく、自分の体、自分の部屋、自分の生活リズムに合ったものを選ぶことが大切です。

まとめ

寝具は高ければいいというわけではありません。

もちろん、高い寝具には高いなりのよさがあります。

しかし、それが自分の暮らしに合っていなければ、よい寝具とは言えません。

大切なのは、

  • 自分の体に合っていること
  • 寝室の環境に合っていること
  • 暑がり、寒がりなどの体質に合っていること
  • 毎日無理なく使えること
  • ふとんに入ったときに「気持ちいい」と思えること

だと思います。

寝具は、毎日の眠りを支える道具です。

高いからよい。

有名だからよい。

みんなが使っているからよい。

そうではなく、

「自分の暮らしに合っているか」

ここを大切にしていただきたいと思います。

毎晩使うものだからこそ、背伸びしすぎず、我慢しすぎず、自分にとってちょうどよい寝具を選ぶ。

そんな寝具選びが、毎日の眠りを少し心地よくしてくれるのではないでしょうか。