~「冷たそう」だけで選んじゃダメ!~

いきなりで恐縮ですが、人の感覚ってとても表現が難しい思います。
お医者さんに行ったときに、症状を尋ねられたとき。例えば、歯が痛いとして、どのぐらい痛いのかをどう表現すればいいんでしょう・・・?
ズキズキ? チクチク? ズ~ン? とても痛い? しびれる? ・・・
文学的な表現をする人ならば、
「憤懣(フンマン)を感じさせないではない痛さ・・・」
などと言うのでしょうか? *お医者さんは困ると思いますが・・・
同じようなことが、寝具にもあります。
「冷感」という言葉です。
冷たい感じ?
キンキン? ひんやり? ヒヤッ? 涼しい?・・・
熱帯夜が普通になっているご時世で、寝具の「冷感」はますます重要になってきています。
今回は、寝具のプロとして、この得体のしれない「冷感」について語ってみたいと思います。

そもそも“冷感”って?
「冷感」という言葉を聞くと、なんとなく“冷たい”というイメージがあります。
実は、この“冷たい”という感覚は、体の熱がどれだけ速く素材に移動するかで決まります。
人の皮膚温度は約33℃。この熱が寝具に素早く奪われると、私たちは「冷たい」と感じるのです。
つまり、「冷感寝具のカギは、熱をどれだけ速く逃がせるか」ということ。
そして、この“速さ”を数値で示す指標が Q-max値 です。
難しくないQ-max値
〇〇値なんてものを見ると、文系の方は特に嫌悪感をいただいてしまいそうですが、大丈夫です。
全く難しくありません。
特に、冷感寝具を選ぶときには、「Q-max値 0.35」などの表記があります。
Q-max値 は、冷感の度合いを示す数値なんです。
Q-max値は、接触冷感を示す数値で、単位は「W/cm²」。
簡単に言うと、触れた瞬間に素材がどれだけ速く熱を奪えるかを数値化したものです。
数値が高いほど、ひんやり感が強くなります。
この意味だけ、なんとなく知っておいていただければ十分ですが、一応数値の目安をお伝えすると、
0.2 W/cm²以下 … ほぼ冷たさを感じない
0.2~0.3 W/cm² … ややひんやり
0.3~0.4 W/cm² … 一般的な冷感寝具
0.4 W/cm²以上 … 強い冷感(ハイグレード品)
という感じです。
Q-max値だけで決めていいの?
Q-max値はあくまで“瞬間冷感”の指標です。
寝ているうちに素材は体温で温まるので、冷たさがずっと続くわけではありません。
・通気性や吸湿性
・肌ざわり 等
も冷感に影響をします。ここまで冷感のことを話していて恐縮ですが、
寝具のプロとしては、
「Q-max値は大前提としつつ、室内環境やご体調などで適正な冷感寝具は変わる」
と思っています。
寝室の状況や空調の状況、ご年齢や気になる体調面から考えれば、Q-max値が高ければいいということにはなりません。
そのあたりが、私達、寝具のプロの出番だと考えてます。